暴力の時代に別れをつげるために

20世紀末から今世紀にかけて、女性や子どもへの性暴力をはじめとする暴力への関心がいちだんと高まり、一定の法的・社会的対応が緒についたことは、私たちに大きな希望を与えてくれました。
私たちがめざすゴールは、まだ遥か彼方ですが、その方向に向かっての活動が社会から必要とされていることを確認させられております。女性や子どもに対する暴力の存在が「暴力」として認識されたのは、新しいことです。今までは、事実としては存在し、多くの人がそれを知りながらも、明確に「暴力」であること、人権侵害行為であることが認められてこなかった歴史にはっきりと決別できる時代に生きていることに、深い感慨を覚えます。
暴力の被害者に同情することは、誰にとっても一見容易なことかもしれません。しかし、暴力をなくすという観点から本当に必要なことは、同情ではないと考えます。暴力を生み出し、許容しているこの社会の根本的な構造を徹底的に分析し、何が本当に必要であるかの認識を多くの人と共有することではないでしょうか。私たちは、このことを支援教育センターの研修講座の参加者をはじめとする方々から寄せられたご支援と熱い思いから、実感しています。
これまでのセンターのささやかな活動を通じて、私たちはゴールへ向かっての確かな手応えを感じております。私たちの活動は、暴力を生み出し、それを助長し、容認してきた社会の根深い構造を掘り崩すという途方もない企てからすれば、本当に小さなことかもしれません。しかし、私たち一人ひとりのささやかな力を合わせることで、私たちの前に長いこと立ちふさがってきた大きな堅固な壁にいくつかの穴をあけることができているのではないでしょうか。
会員の方が、学んだことを自分の持ち場で広げることで、いつかこの壁が崩れ去るのを夢見ることは、決して夢想ではないと確信しております。女性たちが中心になってのこの小さな大事業に力を合わせていきたいと考えております。私たちは、自分たちがそういう力を持っていることをセンターの活動を通じて確認しつつ、さらに大きな力にしていきたいものです。暴力の時代に別れをつげ、人権が守られる新しい時代に向けて、大いに夢を語り、それを現実のものにしていくために、これからもセンターとともに歩んでいく人々が増えることを願っております。(角田由紀子)