2019年度研修講座

※2019年度研修講座の募集は終了しました。

Aコース
Bコース
Cコース
SANEコース:性暴力被害者支援看護職養成講座

【会 場】 東京有明医療大学
東京都江東区有明2-9-1

りんかい線(大井町ー新木場)「東雲(しののめ)駅」徒歩約13分
ゆりかもめ線(新橋ー豊洲)「有明テニスの森駅」徒歩約10分
都バス(東京八重洲口・丸の内口から、門前仲町から)「有明小中学校前」徒歩約2分

●Bコース、Cコースは、2019年度でいったん終了します。※2019年度研修講座の募集は終了しました。パンフレット送付をご希望の方は、お名前・ご住所・メールアドレスを明記の上、メールまたは問合せフォームよりご連絡ください。なお、会員の方、研修講座や公開講座に参加したことのある方には、全員にお送りいたします。*hotmailをお使いの場合、当センターからの返信が届かなかったり、迷惑メールフォルダに保存されるおそれがあります。それ以外のメールアドレスでご連絡いただけると助かります。

■日程■

  • 第1期:2019年7月13日(土)・14日(日)
  • 第2期:2019年11月9日(土)・10日(日)
  • 第3期:2020年 2月8日(土)・9日(日)

A,B,C各全期、SANEを修了した方に修了証を発行しています。

研修講座は、支援の最先端をわかちあえる場です。

A コースは、多様な現場で支援に取り組む講師が、最新の情報や知識をギュッとむすんで、お伝えします。全国の被害者支援に関心のある参加者の皆様とのつなが りをつくる場ともなっています。支援者として活動している方、これから活動しようとしている方、すべて対象です。できるだけ全期ご参加ください。(定 員:80名)

Bコースは、講師の話の深まり、広がりの中でそれまで抱いていた疑問や悩みを越えて新たな世界が開けていく、そんな講座を揃えています。支援の最先端をわかちあえる場となります。Aコース(2010年度までは基礎コース)全期を修了した方が対象です。(定員:35名)

Cコースは、隔年で実施しています。AとB各全期、またはAコース全期とSANEコースを修了した方が対象です。全期すべてに参加することが条件です。女性会員限定。(定員:35名)

SANEコース(性暴力被害者支援看護職養成講座)は、看護師・助産師・保健師の方が対象です。原則としてAコースを先に修了していること、全期すべてに参加することが条件です。女性限定。(定員:30名)

■募集参加要項・申込■

次の4種類の方法からお選びいただき、お申し込みください。5月31日(木)必着です。
※2019年度研修講座の募集は終了しました。

1.【講座お申し込みフォーム】はこちら

2.参加申込用紙をFAX(03-5684-1412)

3.E-mailで参加申込用紙を添付または必要事項を入力の上送信(shienkyo@vega.ocn.ne.jp)

4.参加申込用紙を郵送
(女性の安全と健康のための支援教育センター〒113-0033 東京都文京区本郷1-25-4 ベルスクエア本郷7階)※申込書等のダウンロード:募集要項 ・ 参加申込書(個人用)・公費参加申込書(個人用と併せて送ってください)

■プログラム概要■

プログラムは3期に分かれています(すべて土日)。事情により予告なく講座の順番や講師が変更になる場合があります。(プログラムのダウンロードはこちら)

●Aコース

A1 ワーク:多様化社会とは 朴 和美まずは自己紹介などを通して、研修参加者同士が知り合いましょう。単一民族・文化・言語神話による同化圧力の強い日本社会で、多様化社会を実現するためには一体どんなことが必要なのかを一緒に考えていきます。

A2 障害のある女性と複合差別 佐々木貞子障害のある女性は性差別と障害者差別を複合的に受けている。視覚障害当事者である講師も同様だ。障害のある女性が置かれている現状と、適切な支援のあり方を学ぶことによって、社会の側の課題をしっかり共有したい。

A3(1期)・A11(2期) 女性への暴力と社会構造 ① 総論 ②性暴力 角田由紀子なぜ、女性への暴力が肯定され、助長され、容認されてきたのか。社会構造へ深く視野を拡げることで問題の核心に迫り、より確かな支援者を目指す。①総論、②性暴力をテーマに批判的考察を試みる。

A4 子どもの虐待とDVー「心の支配」を解き明かす 千田有紀DV被害者である女性が、夫から子どもへの虐待をめぐって「虐待に加担した加害者」と非難されている。DVを受けている人が子どもの虐待に加担しているように見えてしまうのは加害者による「心の支配」がある。それをジェンダーの視点で解き明かす。

A5 女性への暴力被害相談 : 基本的な考え方と実際 池田ひかりDVや性暴力などの被害を経験した女性に対する支援の基本姿勢や心理教育、情報提供の仕方、関係機関との連携のとり方、相談時の配慮など基本的なことを学ぶ。

A6 リプロダクティブ・ライツ ① からだ、私たち自身 麻鳥澄江「私のからだは私のもの」という言葉で、1970年代、おんなたちの性と生の解放運動が始まった。それはDVや性暴力被害について「沈黙を破る」当事者運動でもあった。それから50年近くたつ今、おんなたちの情況は。

A7 サバイバーとアディクション 湯本洋介暴力被害を受けた人のトラウマと、アディクション(嗜癖)ーアルコール・薬物依存、ギャンブル依存などの基礎知識、医療的ケアと回復について専門医に学ぶ。

A8 DV/暴力を体験するということ 中島幸子・西山さつき親密な相手からの暴力は女性にどのような混乱をもたらすのか。そのしくみを知り、DVからの回復のために必要なことについても考える。

A9・A10 ワーク:対人援助の基礎を学び、実践する 金香百合当事者の回復とエンパワーを支援する対人援助者としての自覚をもち、自らの言動や価値観に対する敏感さを磨く。自己理解・他者理解・社会状況を総合的に深める。人間理解として、自尊感情や暴力の連鎖についても学ぶ。

A11 女性への暴力と社会構造 ②性暴力 角田由紀子 (A3参照)

A12 リプロダクティブ・ライツ ② 歴史の中の女性のからだと性 三輪和惠歴史のなかで、女性のからだと性があつかわれてきた不当性に対して、明確に抗議の主張を掲げた近代日本の女性たち、彼女たちの主張をいまこの社会に生きる私たちは、学びさらに今後に活かしたい。

A13 相談・支援の現場で必要な法的知識 森 あい・片岡麻衣DV、性暴力の支援において、司法のしくみはどうなっているのか。関連法律にはどのようなものがあるのか。弁護士の役割や探し方についても知る。

A14 行政の各援助制度の基本的な活用 鈴木純子DV被害女性などへの万全で包括的な支援システムは、未だ確立されていない。支援者は縦割りの各制度を充分に把握して、当事者の最大利益を確保できるよう、有効に制度活用できる力をつけよう。

A15 今日の女性労働問題ーなぜジェンダー格差はなくならないのか 皆川満寿美支援員として働く人にとっても、相談現場で出会う人にも、現実の労働問題を理解することは重要である。日本の企業は女性労働者をどう扱っているのか、なぜ雇用におけるジェンダー格差はこれほど大きいのか、考えてみたい。

A16 記録のとり方 池田ひかり記録をとる目的、支援に役立つ記録の書き方・活用の仕方、記録の開示などを具体的に学ぶ。

A17 性暴力被害と支援 山本 潤性暴力という言葉が聞かれるようになって久しいが、性暴力とは何か、どういう体験であるのかという事が理解されることは少ない。性暴力は被害者に何をもたらすのか、その影響と必要とされる支援について共に考える。

A18 セクシュアリティを学ぶ:ジェンダー規範という暴力 岡田実穂人口の6〜10%はセクシュアル・マイノリティであると言われています。その実際を知らなければ、その人たちの困難に気付くことはできません。まずは様々なセクシュアリティを学ぶ中から、性の多様性を理解していきましょう。

A19 女性の自立支援とは何か 熊谷真弓女性問題の視点から女性福祉を考え、母子生活支援施設、生活保護女性更生施設、精神障がい者生活支援施設などの現場で働いてきた講師の経験から学ぶ、女性の自立支援の課題、関係機関との連携、そして支援職について。

A20 リプロダクティブ・ライツ ③ 優生保護法をめぐって 大橋由香子刑法堕胎罪の例外規定として中絶を許可した優生保護法は、危険な闇堕胎から女性を救ったと同時に、強制的な不妊手術や中絶も推進してきた。人口政策が女性の身体、人生に及ぼす影響について考える。

A21 シングルマザー、子どもの貧困 赤石千衣子DV被害そのほかの理由でシングルマザーとなった女性とその子どもたちが直面する困難、壁をどう乗り越えていけるか。母子世帯を支える公的制度、民間の社会資源の最近の現状についても伝える。

A22 DV、性暴力とトラウマ 菊池美名子女性に対する暴力は、女性の身体だけでなく、こころにも深い傷を残すことが多い。その後PTSDと呼ばれる精神症状に長く悩まされることもある。心の傷と回復について、最前線の治療援助、調査研究を知る。

A23 性暴力被害ー警察と連携するには 成澤知美・稲吉久乃被害に遭った方の支援をするためには基本として、性暴力と性犯罪の違い、司法の流れなどを知っておく必要がある。これらについて説明したうえで、事例を用いながら支援における留意点について考える。

A24 回復する力:“その後の不自由” 上岡陽江子ども時代の被虐待経験やその後の性暴力被害、DV被害、薬物中毒、売春という「犯罪」など、たび重なるトラウマを生きのびてきた女性たちの物語から、回復の道筋をたどる。

●Bコース 2019年度でいったん終了します。

※参加希望者が 15 名に満たない場合は、中止となります。

B1 行政の各援助制度の主体的な活用 鈴木純子支援での制度活用とは、現行の法制度と運用に人を沿わせることではない。被害者の現実・社会の現実に気づき、法制度の不備と矛盾を見極め、現状への批判的な視点を磨いて、よりよい制度と活用を考えよう。

B2 女性への暴力と社会構造 ③ 家族と法 角田由紀子女性への暴力を肯定している問題の一つに、古い体制と決別しきれていない家族法がある。戦後作られたことになっているが、実際には主要な部分で明治時代の家族法を引きついでいる。家族法を批判的な目で再検討し、あるべき家族法をも展望する。

B3 ケア労働とジェンダー  伊藤みどり様々な形でケアを必要とする人のためのケア労働。専門性を求められる一方で賃金は低く重労働。ケアする人のセルフケアも重要な労働問題です。男性モデルの働き方に併せるのではなく、対人援助職の性別役割の問題点にも焦点をあててケア労働とジェンダーの視点で一緒に考えてみませんか。

B4 事例の書き方 池田ひかり事例検討等に事例を提示することは、支援の質を維持・向上することにつながる。そのためには、提示目的を明確にし、その目的に添った事例にまとめる必要がある。このコマでは適切な事例の書き方を学ぶ。

B5 性的マイノリティとは 麻鳥澄江性別は男女の2区分、恋愛といえば異性愛=男女愛だけと教育されてきたが、現実はもっと広くて深い。決め付けからくる誤解や差別を点検し、法律や社会が多様な個性に対応するよう後押ししていきたい。

B6 外国人女性への支援 皆川涼子暴力被害にあった外国籍の女性への司法支援に取り組んでいる援助者から、被害実態や被害女性をとりまく困難な状況、被害者が外国籍の場合の留意点などを学ぶ。

B7・8 私の仕事を語る:進行 朴和美・鈴木純子・池田ひかり自分の仕事を端的に語ることが多職種連携には欠かせない。いかに相手にわかるようにプレゼンテーションができるかで、仕事の質が向上する。そういったことを基礎に今の自分の仕事について語ってみる。

B9 病院における暴力被害者支援 加藤雅江医療機関は、被害を発見しやすい立場にある反面、暴力行為を見逃してしまうと、状況をさらに悪化させてしまう可能性もある。見逃しを防ぎ、暴力被害の早期発見・早期対応のために、効果的な支援について考えてみたい。

B10 ディスカッション:トラウマの理解〜環状島をめぐって 宮地尚子被害にあった当事者と、周辺の人々そして支援者との関係は。トラウマをめぐる人々の関係を深く理解するために。課題図書『環状島 トラウマの地政学』(宮地尚子著 みすず書房)を読んで話し合うゼミナール方式のワーク。課題図書を読了し てきてください。

B11・12 ワーク:面接技法を磨く 丹野眞紀子面接技法をブラッシュアップするために非言語的コミュニケーション技術やストレングスをどのように応用するか。

B13・14 事例検討:ファシリテータ・小西聖子支援者が支援される、エンパワメントされることが実感できる「事例検討」の体験ワークショップ。

B15 感情労働としての支援の仕事 小宮敬子支援者はいつも共感的で、忍耐強くなければならない—そんな思いに縛られて、自分のほんとうの感情を押し殺してはいないだろうか。自分をみつめ、負の感情を認めるとき、支援者は自分の真の力を引き出すことができる。

B16 リプロダクティブ・ライツ ④ 生殖における女性の自己決定と医療 柘植あづみ体外受精、代理出産、出生前検査……生殖技術が進展する一方で、女性たちが被る精神的身体的苦痛は語られること が少ない。妊娠・出産・不妊治療・流産・婦人科診療をめぐる女性たちの語りから医療における女性の人権を考える。

B17  エンパワメントにつなげる安心・安全を与えるアプローチ 髙山直子人や社会から傷つけられ「信じる力」が小さくなっている被害女性に安心・安全を与えるカウンセリングアプローチを分かりやすい言葉で紹介し、エンパワメントにつなげる支援に必要な意識とスキルを共有する。

B18 ワンストップ支援センターについて 平川和子今、各地で性暴力救援センターが立ち上がっている。被害者を支援し、権利を回復できる救援センターの機能と役割とは何か。被害当事者の視点から救援センターの在り方を考える。

B19・20 事例検討:ファシリテータ 松田知恵事例に関する相談現場再現を試みる。特に相手の心情を、ロールプレーをとおして疑似体験し、事例を検討する

B21 リプロダクティブ・ライツ ⑤ 女性のからだと性の自己決定権 三輪和惠女性が生きるうえで、自分自身のからだと性の問題を「リプロダクティブ・ライツ=女性のからだと性の自己決定権」という視点で明確にすることは重要な課題。その核心問題としての人工妊娠中絶をめぐる諸問題を考えたい。

B22 子ども虐待対応の現場から 山本恒雄日本における子ども虐待の実態、子ども虐待に取り組む公的機関や民間団体の活動、現状の問題点や今後の課題を概観する。

B23 混乱をもたらすコントロールとは 中島幸子・西山さつき分かりにくい支配や攻撃の形である「受動的攻撃」について考える。DV の加害者や時に支援者も用いる場合がある「受動的攻撃」に気づいていく重要性を伝える。

B24 ワーク:支援者自身のからだ 竹森茂子勉強しない学ばない。思いきり遊んで、頭とからだを解放しよう! ストレスやからだの疲れをリセットして、しなやかなこころとからだを感じよう! 自分自身のからだについて考えてみませんか。

●Cコース 2019年度でいったん終了します。

※参加希望者が 15 名に満たない場合は、中止となります。

C1 オリエンテーションと自己紹介 松山容子・丹羽雅代このコースは参加メンバー全員で力を合わせて育ち合うコースです。仕事で行き詰まった時、誰かに相談したい時、どうしていくのか、ここで巡り合った仲間を中心にネットワーク作りの始まりです。

C2 子どもシェルターについて 石井花梨いじめ、虐待など家庭や社会に安全な居場所がないハイティーンの子どものため弁護士会主催の「子どもの人権110番」を通じて2004年に日本で初めて子どもシェルターを開設し、現在では全国子どもシェルターネットの活動をしているカリヨン子どもセンターの事務局長に現状を聞く。

C3 ワーク:感情表出と自分 朴 和美感情表現は、自分の慣れ親しんだ文化や使う言語によって違ってきます。同化圧力の強い日本社会では、どんな「喜怒哀楽」が実践されているのかを一緒に探っていきましょう。

C4 子どもの虐待とDVー「心の支配」を解き明かす 千田有紀 (Aコースと合同)DV被害者である女性が、夫から子どもへの虐待をめぐって「虐待に加担した加害者」と非難されている。DVを受けている人が子どもの虐待に加担しているように見えてしまうのは加害者による「心の支配」がある。それをジェンダーの視点で解き明かす。

C5・6 事例検討:ファシリテータ 丹野眞紀子インシデント・プロセス事例研究法を応用した事例研究を通して、利用者の理解を深め、支援者の多様な考え方を理解しよう。ソーシャルワークの事例の考え方をより実践的に学ぶ。

C7・8 ディスカッション:リプロダクティブ・ライツ 柘植あづみ子どもを産む/産まないを決めるのは誰? 法律上、産まない決定には夫の同意が必要だったり、医師の権限が大きかったり、意思決定に国家が介入した歴史についてディスカッションしましょう。

C9・C10 産婦人科医療:自分のからだを知る 丸橋和子支援者である私たちは相談者の体のことは心配して色々相談に乗っているが、果たして本当に産婦人科医療の最新知識を含めてちゃんとわかっているだろうか。改めて知識だけでなくからだを通じて自分自身に向き合ってみよう。

C11・12 男性の被害者によりそうには 岩室紳也刑法が改正され、男性被害者の対応の必要に迫られている。しかし、知識も感情もまだまだの現状である。泌尿器科医として長年男性たちと関わってきた講師とともに、男性被害者の支援を考える。

C13・14 ディスカッション:『性と法律』を読んで 角田由紀子現在の法律は性をどう捉えているのか、私たちはどう考えて行動していくのか。性の問題を法律という観点から書かれている本を読んで、話し合うゼミナール方式のワーク。

C15・16 事例検討:ファシリテータ 小西聖子

C17 パートナーからの性暴力と回復 中島幸子夫や恋人など信頼する人からの性暴力は、身体的暴力や心理的精神的暴力、経済的暴力と同様に大きく、そしてこれらとは異なった性質の、深い傷つきをもたらす。それは何故なのかを考える。

C18 SANEとの協働 三隅順子性暴力被害者支援看護職は、支援教育センターの重要な講座で、看護職としての資格で養成されている。支援者として協働していく上できちんと理解してすることが必要であり、どう協働していくのかを考える講座。

C19・20 見学・裁判傍聴報告:進行 担当委員

C21・22 事例検討:ファシリテータ 金香百合

C23 ワーク:支援者自身のケア 菊地びよ誰もが日々出会っているからだという場を心地よくするヒント。からだの記憶も使い方もそれぞれ。このからだ自身は何してる? 在りのままのからだとちょっとした動きから変わることを見つけていこう。

C24 自分の成果とこれからについて:進行 担当委員

●SANEコース

S1 SANEの役割と課題 加納尚美SANE: 性暴力被害者支援看護職に求められる役割、資質、知識とは。日本の現状に即した中で、どのような活躍が期待されているのか。

S2 法看護の実際、IAFNとは 米山奈奈子法看護学とは、医学と看護学をベースに法律にかかわる諸問題に対処する看護学の新分野で、諸外国では、暴力・虐待被害者のケア、暴力加害者対応、触法精神障害者のケア等が展開されている。国際学会としてIAFNを紹介し、日本のJAFNの活動の可能性を探る。

S3 DV相談機関の活用 池田ひかり虐待対応とは異なるDV被害者支援の基本的なスタンスやDV被害者支援体制とその利用方法を具体的に学び、支援ネットワークの中での医療者が求められる役割について理解を深める。

S4 女性の権利と健康 麻鳥澄江人工妊娠中絶の問題に焦点を当てながら、世界の女性運動の歴史と現在までの流れ、現状を伝える。また、SANEができる「権利擁護」の行動についてもふれる。

S5 SANEが知っておくべき支援の原則と倫理 家吉望みDV/性暴力被害にあった人に医療的ケアを提供するうえで、何に注意すべきか。やってはいけないこと、言ってはいけない言葉、SANEだからこそできることや限界について、支援の原則を学ぶ。加えてSANEとして「倫理」について学ぶ。

S6 被害者の理解:社会(マクロ)編 土井真知DVや性暴力に関する資料や調査結果から、被害の実態、一般社会で信じられている誤解と事実、社会において被害者が置かれている状況等を考える。支援の現場でとまどわないために。

S7 ワーク:差別の感覚 朴 和美差別の感覚を理解するために、見知らぬ人や異なる事象に対する自分の中の寛容度を探ることから始めませんか。対人支援に携わる者にとって、日々の思考や行動に影響を与えている認識枠組を知っておくことは大事です。

S8・9 ワーク:看護の実際 ①② 三田村博子DV事例のアセスメントをしてみましょう。

S10・S11 保健医療対応:精神科編 PTSDとそのアプローチの実際 白川美也子PTSDへのアプローチの実際について学ぶ。PTSDから複雑性PTSDの心理教育に役立つ機序の理解、出来事イン パクト尺度を用いた心理教育、フューチャー・タイム・ライン技法を用いた回復にむけての小さな目標作り、リラ クセーション技法の習得を目標にする。参考書「赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア」(アスク出版)を読了し てきてください。

S12 ワーク:対人援助の質を高める 金香百合最も困難な状況にあって、援助者が当事者の回復のためにすべきこと、できることは何か? 対人援助の原点に立ち返りつつ、自分自身の援助の質的向上をめざす。人間力・社会力・対話力を伸ばし、自分の<ぶれ>の意識化と、バーンアウトの予防やセルフケアについても備える。ホリスティック・ケアの概念についてもふれる。

S13 保健医療対応:産婦人科編 妊娠、性感染症 丸橋和子性暴力被害によるからだへの影響はどのようなものがあり、緊急対応と長期的ケアとしてどのようなものが必要か。

S14 性暴力被害者の急性期看護の基本 家吉望み性暴力被害者に対する急性期看護についてポイントを確認する。

S15 被害者の理解:当事者(ミクロ)編 中島幸子夫や恋人など信頼する人からの性暴力は、身体的暴力や心理的精神的暴力、経済的暴力と同様に大きく、そしてこれらとは異なった性質の、深い傷つきをもたらす。それは何故なのかを考える。

S16 保健医療対応:法医学編 創傷記録 主田英之 身体的外傷の特徴と治癒経過をふまえ、暴力被害に関連する身体的外傷を正確に観察し、記録することはSANE にとって重要な仕事の一部。後に医学的証拠にもなりうるカルテ記載ができるよう、その知識や方法を学ぶ。

S17・S18 ワーク:看護の実際 ③④ 家吉望み・主田英之・三隅順子・三田村博子性暴力のアセスメントのポイントを押さえ、証拠採取や記載方法を演習する。

S19・20 保健医療対応:子どもの性暴力被害編 子どものアセスメントと多機関連携 山田不二子性暴力被害にあった子どもにはどのような症状が起きるのか。性虐待の疑いがあったとき医療者として気をつけなければならないことは何か。発達過程にある子どもの支援の特徴について解説する。

S21・22・23 私たちにできる連携 ①②③  三隅順子これまでの講座や地域・職場において得られた情報・知識から、自分たちなりに連携を模索する。当事者の様々なニーズに応えるための連携作りには何が必要か考える。

S24 保健医療対応:地域行政編 行政の被害者相談と他機関連携 稲吉久乃犯罪被害者等基本法には国と自治体と国民の責務があるとうたわれている。自治体としての支援を事例を通じて知って、使っていけるようにしたい。

S25 二次受傷、感情労働、セルフケア 米山奈奈子被害者支援では、支援者は支援を通して二次受傷を負う危険性がある。特に感情労働の特徴を理解した上でセルフケアの重要性を再認識できることを目指す。

S26 性と法律 角田由紀子医療現場は社会に深くつながっている。そこで、当事者の求めに応じることのできる仕事をするには、性と社会と法律との関係を知って考えてほしい。患者の存在そのものが社会的であることを共に再確認したい。

S27 支援の継続と発展 修了式/ふりかえり 平川和子SANEでの学びについて各自の体験と知恵を出し合い、支援の継続と発展について考える。痛み、涙、笑い、悲しみなどさまざまな感情を自分の変化の糧として、新たな希望や抱負を拓く。

※2019年度研修講座の募集は終了しました。